book

悪人/吉田修一

吉田修一の「悪人」を読む。「さよなら渓谷」を読んだ頃から、ぐんと気になる作家になったこの人。そして、昔から「犯罪」というモノの裏側にあるモノを知りたいという興味が尽きないわたしである。「ある一線」という境界線を越えてしまう人と超えずにいる…

相変わらず、田辺さんの書く女はかわいい。

「ほどらいの恋〜お聖さんの短編」田辺聖子著を読む。 「ジョゼと虎と魚たち」の原作を読んで以来、田辺さんの紡ぐ大阪弁の愛らしさと、食べ物の描写の達者さと、どこか憎めない男とその男を甘やかす女の書き方があったかくて、ファンになった。時々文庫本を…

実験4号/伊坂幸太郎×山下敦弘

遅くなった。遅くなったけど、今夜、例のモノ読んで、ンで観た。そして今聴いてる。CDラックをごそごそやって「リハビリ中断」引っぱり出してきた。あと「とどめをハデにくれ」も。それだけじゃ足んなくって「ブッチメリー」も2枚。「実験4号」って曲。…

風花/川上弘美

みっともないことなんだな、他人と共にやってゆこうと努力することって。 小説よりも、もっともっとみっともないよ、現実は。と「風花」を読みながら、わたしはぽつんと呟いていた。川上弘美の新作「風花」を読みおわりました。読んでいる間は、さらりとした…

NHKアーカイブスをみながら「そこに安住してはいけないということ」について考察する。

日曜日の夜に楽しみにしていた「NHKアーカイブス」が土曜日の朝に引っ越ししてしまいました。すごく残念。アナウンサーの妙齢の女性もいい感じだったのになあ。日曜日の夜。少し夜更かししてヨーガでカラダをほぐしながらアーカイブスをみるのは、わたしの中…

家庭の医学/レベッカ・ブラウン

昔かいた感想ですけれど、こちらに「レベッカ・ブラウンは、わたしの教科書で、バイブルです」→http://d.hatena.ne.jp/makisuke/20061001#p1

NHKスペシャル「夫婦で挑んだ白夜の大岸壁」と沢木耕太郎の「凍」

何かに呼ばれると感じることがある。わたしは間違いなく、クライマー/山野井泰史・妙子という夫婦に何度も何度も呼ばれているような気がする。もしくは、彼らに憧れて山を目指し山で亡くなってしまった幼なじみの彼女から、呼ばれているのかもしれない。とに…

「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」と「ねじまき鳥クロニクル」とわたしのあれこれを考察する

「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」を読んでいると、何度も何度も「ねじまき鳥クロニクル」の話が出でくる。その度に「ねじまき鳥〜」を読まないことにははじまらないのではないかという気持ちになった。そして、その中で語られる夫婦の話がココロに残った…

私の男/桜庭一樹

「私の男」を読む。何かの雑誌に林真理子が「不快感の方が勝ってしまった…」というようなことを書いていたように思うけど、私はオーソドックスでスタンダードな物語と読めた。オーソドックスという意味合いにおいての安心感も安定感も備わっていたように思っ…

バナナとバナナ味の間にあることに関する一考察

バナナ味のチョコレートを食べる。 「明治バナナチョコレート」。思った通りと言おうか、ああやっぱりねと言えばいいのか、想像していた通りのバナナ味だった。私に限らず、おそらくは万人の想像を上回ることも下回ることもない。期待も裏切らない。進歩も退…

タタド/小池昌代

小池昌代の「タタド」を読みかえす。一晩でぐいっと最後まで。うん、やっぱりおもしろかった。 去年の秋に書いたレビューを見つけたのでのっけておく。写真は去年の秋の彼岸花とわたし。 初老に差しかかった男女4人のやりとりと終わりとはじまりを書いた表…

村上春樹、河合隼雄に会いにいく/村上春樹

海辺のカフカ/村上春樹

「海辺のカフカ」上・下巻を読み切った。まずは読み応え充分だった。ストーリー云々はさておいても。しっている作家のさらにいろんな作品に手を出したくなるきっかけの書としても、音楽の指南書としても読み応えがあるし。哲学や登場人物の考えと、自分の考…

神の子どもたちはみな踊る/村上春樹

「神の子どもたちはみな踊る」村上春樹著を読む。わたしはそれほど熱心な村上春樹を読む人ではないけれど、すすめられたりプレゼントされたりしたら、熱心に読みますぐらいの村上春樹を読む人ではある。この本はプレゼントだったので、熱心に読んだ。 村上春…

「真鶴」から「無銭優雅」まで

川上弘美の「真鶴」を読み終わったのは、随分前のことだけれど。わたしの言葉に置き換えるまでには随分時間がかかったし。もしも読み返すことがあるとしたらば、やはり随分先のことになると思う。 この本は、読んでいる間も読み終わっても、なかなかなまなか…

100万回生きたねこ/佐野洋子

久し振りに「100万回生きたねこ」を読みました。 100万回死んで 100万回生きた ねこの話です。 100万人の人にかわいがられて そのねこが死んだ時 100万人に泣かれたという(なんともうらやましい)ねこの話です。 なのに とうのねこは 死ぬのなんかまったく…

2006年記憶に残った本

「週末のフール/伊坂幸太郎」「流星ワゴン/重松清」「日々ごはん/高山なおみ」「密やかな結晶/小川洋子」「ミーナの行進/小川洋子」「生きてるだけで、愛/本谷有希子」「夜をゆく飛行機/角田光代」「ドラママチ/角田光代」「沼地のある森を抜けて/梨木梨木香…

介護マシーンとしてのワタクシとレベッカ・ブラウン

自分の容量の小ささを実感する日々。この頃の私はとてもとても小さいみたいだ。例えば、患者さんなりその家族なりに恵まれていたなと感じながら、働いて日々を思いかえす。わたしは恵まれていますからこの仕事苦ではないですと屈託なく答えていたわたし。患…

このごろの読書

読んだ本は、一言でも感想を書いたり言ったりしないと自分の中で完結しない。ので、ついついパソコンを立ち上げてしまうのだな。と、思う(で、力尽きたので感想は途中まで、、、)。 「幸福論」春日武彦……断片で現れる幸福たちが、いかにも自分の中にないモ…

流星ワゴン/重松清

この本を手に取ったきっかけは、ゲンノさんの日記を覗いたから。重松清は以前に一冊読んでいたけれど、その時はまったくピンと来なくって、それっきり疎遠になっていた人。私も終盤は、ただただひたすら涙を垂れ流しながら読んだ。この本は、私には痛かった…

このごろの読書

遊びに行った妹の部屋で、内田也哉子の「ブローチ」を読む。キレイな薄い透ける紙に書かれたコトバと絵。ぼんやりしていたコトバと絵が一枚一枚ベールを剥がしていくと、現れる感じがとてもいい。現れたコトバと絵が、またベールの彼方に霞んでいってしまう…

このごろの読書

川上弘美の新刊を読む。静かでひんやりしていてうまいなぁと思うのだけれど、最後までどうしても好きになれず。こういう話は江國香織さんに任せておけばいいのにぃと思う。川上弘美で読みたくなかったよぉと思う。どこか間が抜けていて可愛らしく愛すべき部…

/鈴木いづみコレクション7 いづみの映画私史/鈴木いづみ/

例えば「鈴木いづみ」のように「自殺」という手段で世の中と折り合いをつけた人たちを「彼らはどこで間違えたのか」などと解釈する他人を、私はほとんど憎んでいるといっていい。 速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっている この本は「鈴木…

この頃の読書

感想は今度ゆっくり。 I

おやすみ、こわい夢を見ないように/角田光代

愛することと憎むことは表裏の何かだと茂道は言ったけれど、違う、それはやっぱり歴然と混じりあわない肯定と否定だと翠は思った。混じりあわないはずのものが、個人のなかで矛盾せず同じ強度で存在し得るというだけだ。 角田の新刊がとてもよかった(特に前…

Thumbeline(おやゆびひめ)/Lisbeth Zwerger(リスベス・ツヴェルガー)

ずっと以前にふってくれリストに登録していた「はてなダイアラー絵本百選」。待つことしばしでしたが、ようやく本日id:shionoさんより回ってきました。すでに一冊はあたためてあったので、早速。 リスベス・ツヴェルガーの絵によせて 子供の頃、絵本を捲った…

この頃の読書

←空いている時間に一気に読んでしまったこの本。「ポテトスープが大好きなの猫の話」なんて!まずはタイトルがすっごくいいなーと思って。物語は、年寄りになって少し気難しくなった雌猫とやっぱり少しばかり気難しいおじいさんのお話なんだけれど。二人の気…

この頃の読書

←年末からかけて読んでいた、梨木香歩さんの「沼地のある森を抜けて」を読み終わる。梨木さんは「家守綺譚」以来とても気になる人になったのだけれど、またひとつスバラシイ作品に出会えたなぁと感謝したくなるような一冊だった。こういう圧倒的な物語力を持…

クリスマスの絵本

子どもの頃大好きだった絵本。大人になってから探して手に入れました。タイトルがうろ覚えだったので少しだけ苦労したものです。クリスマスのプレゼントを二つもらおうと、欲張りゴコロを出してしまったした子ウサギの「ましろ」のお話。シンプルな線で書か…

この頃の読書

←人生ベストテン/角田光代 とりあえず繋ぎのつもりで期待もせずに、気楽に手に取ったカクタの短編だったのだけれど、これが実によかったのだよ。この本の中にはヒトツの大きな流れがあって、その流れが私に心地よく響いてくれた。この短編に出てくる人たちの…