銀座まで榎本香菜子さんの展覧会に

銀座のギャラリー・ニケに、榎本香菜子さんの展覧会をみに出掛けました。お土産は我が家でも愛飲している西荻窪サウス・アベニューの茉莉花茶と、実家から届いた母親のじゃが芋を持って、迷い迷いAと一緒に行きました。展覧会自体はこぢんまりしたアパートの一室*1?といったアットホームな感じでやっていまして、「みしり」の激しい私は、初対面の榎本さんやお仲間さんたちにただただ緊張して帰ってきてしまいました。それでも、ちゃっかり珈琲をご馳走になったり、お土産の和菓子を頂いたりしましたが。。。榎本さんの絵は、少年もだけれど、緑と黄色と青の色使いがとても好きです。今回の作品の中にも、緑と黄色の1枚があって「榎本さんの色だなぁ」と、思いました。

帰りは銀座から東京駅辺りをうろうろして、麦とろごはんを食べて、大丸で夕ごはんの材料を買って、帰ってきました。変な道ばかり歩いたせいか、銀座といえどまったく人通りがなくって、なんだか変な感じでした。テリトリー外の街に行くと、大概が挙動不審に陥る私ですが、今日はのびのびできました。

*1:榎本さんに教えていただいた所、アパートなどではなく、立派なビルだということが判明しました。そもそも銀座の画廊なんですから、アパートってこともありませんよね。私の中央線的発想のなせる技ですね

映画の中の気になる食卓

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バベットの晩餐会/ガブリエル・アクセル

「ハレ」の食事と「ケ」の食事。そのどちらも魅力的で、どちらも心を打つモノがあることを教えてくれる映画。その力強さに、私は一人息を飲む。「おいしい」ただそれだけのことが、こんなにも心を打つ。その力強さを、改めて一人かみしめる、そんな映画だ。

機能美、使い込んだ道具の持つ美しさを思い出させる映画。しっかりした作り。抑えたトーン。青、緑、黒、白、それらの色調が心に残る。静かな漁村で暮らす二人の姉妹。父の跡を継いで教会を守り、質素に、慎ましく暮らしている。そこに訪れ、その姉妹に心惹かれるモノたちがいる。それでもやはり旅立っていく。毎日繰り返す単調な代わり映えのしない暮らしに、少しだけうんざりして。去る者に浮かぶ顔。退屈を知った顔。少しばかりの失望を覚え去っていく顔。顔。顔。

パリから逃げ延びてくる、物語の主人公バベット。パリのレストランで華々しい料理を作っていた彼女。姉妹は彼女を受け入る。それでも、やはり毎日は変わらない。特別なモノはいらない求めない。それをバベットは引き受けて、黙って毎日の食事を出していく。バベットの作るつましい食事。何も語らず。それでも、その手腕、裁量はきらりと光らずにはいられない。毎日を切り盛りするモノのたくましさ賢さ強さが、私は好きだ。それは村人や姉妹にはない強さ賢さ美しさ。腕一本で生きてきた、職人の持つそれだ。

突然物語が輝きを放って、流れはじめる。バベットに宝くじが当たる。そのお金で、晩餐会を開くという。牧師の生誕百年の晩餐会を、バベットが思う存分腕を振るうというのだ。いよいよ私を何度も興奮させる「ハレ」の食事。クライマックスへ。

ウミガメやウズラやワインが、続々とバベットの、姉妹のもとに届く。ワクワクする。そのただならぬ様子に、村人も姉妹も「何が出てきてもいっさい料理の話をしない。そして料理を食べた結果、死んだとしても、それが神様の意志だ」と、互いに言い合う。その慌てぶりも微笑ましく笑いを誘うのだが、姉妹も、村人たちも、見て見ぬふり。何かが起こっても起きなかったこと。それを美徳と生きているのが分かる。村とは、そこに生きるとは、そういうことかもしれない。
 
さあ晩餐会。バベットの作り出す芸術の数々。花開く料理たち。匂い立つワインの数々。おいしそうを通り越して、うっとりさえする。ため息が漏れる。何も言うまい、感じまいとしていた人々の、心が、口元が、ほころびはじめる。隠しても隠しきれない。誰にも止められない。止めることなどできないのだ。

顔が変わる。誰も彼もその顔が輝きはじめる。喜びを知った顔。思い出した顔。顔。顔。「おいしい」ただそれだけのことが、長年狭く凝り固まった人々の心を解きほぐしていく。つましい暮らしの影で行われていた、数々の裏切りや諍いが溶けていく。「おいしい」が、楽しみを遠ざけ、生きることを遠ざけるかのようにしていた人々の息を吹き返す。ワインに心地よく酔い、千鳥足での帰り道、誰からともなく、沸き上がる「ハレルヤ」の大合唱。ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ。手を取り合い空に向かい、ただあふれるモノを空に返すかのように。

ああ。今、あなた達は心から幸せなんだね。

本当に人の心を打つというのは、とても単純なことかもしれない。何を知っているとか知らないとか。何を知りたいとか知りたくないとか。そんなことなどどうでもいい。

今、深い憂鬱に捕まっているアナタ。それでも「おいしい」の力に気付いてしまったアナタ。私はアナタの力を信じます。そして私の力を信じます

バベットの晩餐会 [DVD]

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実家から段ボールいっぱいの野菜が届く。むっちゃん家のりんごもぴかぴかと光って美味しそう。リクエストしていた、美味しい根昆布と、母親手作りの瓶詰めおから(具沢山でちょっと甘めでとっても良い味)も入ってました。ほうれん草は茹でて、大根葉はごま油で炒めて、春菊(絶品!)は鍋に入れたのだけど、緑の野菜がどれも美味しい。どんどん箸がのびる。まさにカラダが求めていた味という感じ。とにかく味が濃くって。これはきっと、フルサトの土の力と、作り手の作る力のなせる技なのだな。としみじみ思う。明日は里芋をにっころがしにしてみようかな?ビックサイズの長芋は、とろろに千切りに漬物にしても美味しいかな?などと楽しい計画を思い巡らしながら。

ところで本日の鍋は「あご」出汁で取ってみたのだけれど「あご」いいですね。澄んでいて強くって深くって気に入りました。