百草丸

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子供の私は、吐いてばかりいる子供でした。

自分の食べられる限界ってモノが分からなくって。まあ、一言で言えば、食い意地の張った、頭の悪い子供。ってことになっちゃうんだろうけど。それでも私にとっては深刻な問題だった。あの頃。限界が突然(私にとっては)訪れて、吐き気が込み上げてくると、本当に本当に悲しかった。この世が終わってしまうみたいに。吐き出すと、長い時間止まらなくなることも知っていたし、臭いし、痛いし、苦しいし、何も食べられないし、誰も近寄ってこなくなるし、親にもおばあちゃんにも間違いなく怒られるし、妹たちとも遊べない。ずっと一人で寝てなくっちゃならなかったから。

思い出すのは、よく神様に祈ったこと。布団の中で、枕を濡らしながら。「もうしません」「いい子にしますから」「早く治りますように」涙をポロポロこぼしてたっけ。それを百回唱えたら、絶対良くなるって。自分で自分に言い聞かせていたっけか。

あの頃、おばあちゃんに飲まされたのが「ゲンノショウコ(漢字では現の証拠凄いネーミング!)」って薬草。それをおばあちゃんが煎じてくれたっけ。不味くて苦くて。それでも我慢してぐいっと一息に飲んだっけ。

今でも、やっぱり胃袋はあんまり丈夫じゃない。よく食べるけど、すぐにダメになる。吐くことは段々減っていったけど、風邪をひいたり生理になると、まず胃袋が弱ってしまうし、吐き気がするとやっぱりすごく悲しくなる。この世が終わってしまうみたいに。そんな時は「百草丸」を飲む。いつもカバンの中に携帯しているし、家には大瓶をしっかり常備。池の周りのゲンノショウコは絶えてしまったし、おばあちゃんもこの世にいない。けど、フルサトのこの薬がある。「ゲンノショウコ入り」のこの薬。この不味さ苦さが、私には重要で。おまじないにも、お守りにも匹敵するのです。