2003-01-01から1年間の記事一覧

Glad All Over/忌野清志郎&仲井戸麗市

キヨシロウの歌を(声を)、私は今でも片手間に聴く事なんかできない。それは彼の歌の中に「あの頃」の私が冷凍保存されているから。だけじゃない。私はいつだって、彼の言葉の「伝達能力」に魅せられてしまうのだ。彼の言葉の持つ引力に惹き付けられてしま…

シティ・オブ・ゴッド/フェルナンド・メイレレス

こんな気持ちは、不謹慎と言われてしまうのかもしれない。それでも、私には押さえることができなかった。自分のこの気持ちに、嘘をつく事ができなかった。この映画を観ながら、自分がぐんぐん(まるで目に見えるかのように)元気になっていくのに、驚いてい…

グロテスク/桐野夏生

「桐野夏生」の書く女達は、いつだって好きになれない。 嫌な女愚かな女醜い女。感情移入とは一番遠い所から、入っていくのが常のこと。この本「グロテスク」も例外ではない。いやむしろ、その度合いはいつもより激しい。誰もが誰もエゴが丸出しで浅ましい(…

ひきがたり・ものがたりvol.1 蜂雀(ハミングバード)/七尾旅人/2003年/

音楽をこんな風に道具に使ってもいいものかしらん。冒涜ではないかしらん。などと、思ったりもするのだけど。構うものかとも、思っている。そう、私はこの頃「七尾旅人」ばかり聴いているのだ。 ありえないほど笑わせられたらいいけど ゆらゆらゆらゆらゆら …

トーク・トゥ・ハー/ペドロ・アルモドバル

sin:B00008WJ2F:image 「トーク・トゥ・ハー」。彼女に語りかける。CMの中おすぎさんが「一生分の涙を流しましたっ!」と、情熱的に語っている、あの映画の事である。その情熱に、腰が引けそうになった私ではあるけれど「オール・アバウト・マイ・マザー」…

ソラリス/スティーヴン・ソダーバーグ

私はあなたが覚えているもの。私の声もあなたが覚えているもの。 タルコフスキー好きの友達に誘われて「ソラリス」を観てきました。この映画は「惑星ソラリス」と原作(ニスワム・レム作「ソラリスの陽のもとに」)を同じに持つという。監督のスティーヴン・…

スパイダー〜少年は蜘蛛にキスをする/デイビッド・クローネンバーグ

映画を観る前には、なるべく必要以上の情報を入れないようにしている。レビューだとか、紹介記事だとか。なるたけ自分の中に取り込まないで、まっさらな状態でその映画に向きあいたいと思っている。私の暮らしている東京という街は、とにかく音楽や映画や本…

檀流クッキング/檀一雄

文庫本を手に入れて「檀流クッキング」を読む。頁を捲っていくにつれ、こんなに愉快な気持ちになるとは。こんな快活な気持ちになるとは。正直、思いも寄らぬ発見だった。 自分の好みで、どうにでもなさい 壇一雄の言葉である。この本を貫いている姿勢のよう…

僕のスウィング/トニー・ガトリフ

スゴイことになっている(のか?)!「ボーリング・フォー・コロンバイン」を観に行って、予告編でこの映画「僕のスウィング」が流れ始めた。先週渋谷のシネマライズまで足を運んだ、トニー・ガトリフ監督の新作である。予告編である。短い時間である。それ…

あんまりな/中野翠

私は断然「中野翠」贔屓である。年々歳々その傾向が強くなるようだ。 年の初めに彼女の日記を読むようになって、はや4年。今年も例外なく、日記「あんまりな」を読む。今年とか去年とか来年とか、物事を区切って考えることの苦手な私ではあるが、「たいてい…

文人暴食/嵐山光三郎

「文人悪食」を読み終わり、矢も立てもたまらず、続編であるこの「文人暴食」を買い求めに走った私である。文庫になるまで、待ってなどいられないのというわけだ。 作者のあとがきによれば、「文人悪食」「文人暴食」この二冊を書くために十年間(五十歳〜六…

Sweet Sixteen/ケン・ローチ/

ケン・ローチの新作「Sweet Sixteen」を観に行く。年末の慌ただしさの中、時間をやりくりし映画館へと駆けつけた。 ケン・ローチ。彼の映画「ケス」を観ていたから。この映画がいかに「Sweet」でないか、私は半ば覚悟してはいた。「ケス」には打ちのめされた…