すべてはあの日に始まった。そう、ぼくがはじめてマクナルティーを見たあの日に。

まるで映像を眺めるように、この物語を読み進めることが出来ました。美しくて感傷的で力強くて正しくて禍々しくてやさしくて愛に満ち満ちていて、ワタシ、この小説大好きです。本当に。少年が体全部を震わせて、世界と共振していく様。打たれました。少年は絶望的なこの世界の中でも、少しも閉じていないの。むしろ痛いぐらいに剥き出しで、前に向かって開かれてるの。なんの見返りも求めずに、この身を捧げる覚悟で、ひたすらに「祈り」「願う」その姿。それは遠い昔の私の姿に重なって。胸に迫った。誰もが忘れかけていた無垢な「祈り」を取り戻し「奇跡」というコトバの本当の意味を知る。それが、この物語。この本を読んだ総ての人の胸の中に「祈り」の枝葉が伸びていって欲しい。「願い」の根が張って欲しい。そう思いながら、本を閉じた。少年のこれからのシアワセを願って、本を閉じた。そして今もシアワセな気持ちでいっぱいだ。

ラスト近く、砂浜に皆が集まり、天まで届く焚き火を囲み、それぞれがココロヒトツに「祈る」場面。ワタシの頬もその炎に照らされて、火照ってくるようだった。その炎を飲み込み、総てを浄化し世界に返すマクナルティー。彼の持つ清らかさと偉大さを、ワタシはもう一度ここで褒め称えておきたいよ。そして、彼が救ったこの世界を誰よりも深く愛おしみたいよ。たくさんの絶望と恐怖と悲しみを見てきた狂人の彼。その彼の今が、安らかであたたかく幸福なままでありますように。彼に救われたこの世界が、再び悲鳴をあげませんように。繋いだ手が離れませんように。「奇跡」は永遠でありますように。私たちがこの喜びを忘れませんように。ように。