ミッドナイト・エクスプレス/アラン・パーカー@DVD

makisuke2005-07-05

ミッドナイト・エクスプレス [DVD]
マブダチbigOのオススメ、アラン・バーカー監督のミッドナイト・エクスプレスを見る。外は夜半から降り出した雨音が絶えず聞こえていて、水の惑星に浮かんでいるような感覚を覚えながら(よく感じる感覚)の観賞。イスタンブールの空港で麻薬不法所持(ハシシ)の容疑で逮捕された、アメリカ人の青年ビリーは刑務所生活を余儀なくされてしまう。コトバも習慣も異なる国で、わけも分からぬうちに、引き返せない所まで連れていかれてしまうビリー。実話に基づいた話ということだけれど、いわゆる脱獄モノのような劇的な展開や壮快なラストが用意されているわけではなく。むしろ、暴力や陰惨な出来事が続き、画面も暗く、ひたすらに重たい。それでも、この映画を薦めてくれた彼の薦めたい気持ちはよくよく伝わってくる。映画的というよりも、芝居的、演劇的で、ヒトリの追いつめられていく男の有り様をワタシは半ば放心したように見続けていた。堪えていた感情が決壊し、辺り構わず殴りかかり壊しまくり標的の男を追いつめていく場面。面会に訪れた恋人の体にガラス越しにでも触れていようとするビリーの、まるで赤子のような無防備な姿。人はどんな極限の状態にあろうとも、人として有り続けようとするのだな。「罪」とか「罰」って、どんな役割を持っているのだろう?そんなことも考えたのだけれど、正直な所、この映画で一番動いたのは、ワタシの芝居ゴコロか。邪道な感想だということは、承知で書くけれど。ビリーという男。演じる喜びに溢れた役なのだな。人が極限状態に追いつめられた時、自分の感情がまるで剥き出しのように敏感で覆う物がなにもないように感じる時、自分はいったとどんな顔をするのだろうか?どんな声を出すのだろうか?自分でも知らない顔を見てみたい。自分の知らない声を聞いてみたい。そんな根本的な(興奮状態にも似た)欲求を沈めるのに、少し困った。