最後の牛が売られていきました。

makisuke2005-09-15

  
その昔、実家のお隣は右も左も牛小屋でした。牛小屋の先には放牧用の小さな牧場があったりして、牛とは昔から馴染み深かかったのであります。ですからワタシの場合、フルサトの匂いと言いますと、あちこちから漂う牛の肥やしの匂いだったりするのですね。フルサトに暮らしていた頃は、お隣から分けてもらった牛の肥やしを畑にまかされたり、搾りたての牛乳をもらって飲んだり、人出が足らない時は牛の出産に立ち会ったり(逆子でかなりの難産の末に、赤ちゃん牛は息をしてくれませんでしたけれど)、牧場から脱走した牛を隣のおばちゃんと一緒に追っかけたりと、牛と一緒に大きくなったといってもおかしくないくらいで*1

そして、牛のあのベロで舐め回されたことや大きな鼻から吐き出される甘ったるい息のこと。のっしゃのっしゃとワラを食んでいた口元や愛らしい黒目がちの目のこと。ぼとぼとと落ちてくるうんちやオシッコや。餌が欲しいと鳴いていた声まで。今でもしっかりとワタシのココそこに残っています。あの牛たちの感触がまざまざとワタシの中に残っているようなのです。

その牛小屋が閉鎖してしまいます。今日、最後の牛が売られていきました。おじさんのカラダが思わしくなく、牛飼いを続けていくことが出来なくなってしまったので。もちろん、おじさんのカラダも心配。ですけど、とにかく、淋しいです。ワタシだってこんなに淋しいのだから、おじさんとおばさんの気持ちを考えると。やはり、やりきれなくってコトバがないです。今日の見送りには、やっぱり牛が大好きな甥っ子君(もうすぐ3歳)がお母さんと一緒に行ってくれたそうです。やさしい子です。よいトモダチだったのに、残念です。

*1:そもそもワタシの記念すべきはじめての家出先は、お隣の牛小屋のワラの中だったくらいですもの。