上を向いて歩こう。涙がこぼれないように。

　　　　　　

うつむき加減で歩いていたから、ちっとも気が付かなかったけれど。もう春はすっかりはじまっていたんだね。イロトリドリの世界がはじまっていたんだね。まるで目の前でパチンと手が叩かれたみたいに。突然にだけど確実に。その鮮やかさにびっくりしてしまって。コトバの代わりにシャッターをきってみた。何枚も何枚も青い空をバックにシャッターを切ってみた。空を見上げてる、そんな自分に嬉しくなって、もう一枚余計にシャッターを切ってみた。

上手く言えないんだけど、ずっと長いこと胸の真ん中の辺りが空洞のような空っぽのようなスカスカしたような、そんな「不在」という感覚にがんじがらめになっていたのだけれど。確かに今日は戻ってきたみたい。私のココ（胸の辺りに手を当てながら）の所に確かにある。今、私が確かに感じているのは「ある」ということ「いる」ということ。それを私の内側で感じているということ。その確かさみたいなモノ。それが嬉しいということ。