ゴーストワールド/テリー・ズウィゴフ

makisuke0200-10-13

ゴーストワールド [DVD]
「ゴースト・ワールド」はひたすらに「痛い」映画だった。もちろん嫌いなんかじゃない。イーニドを演じた「ゾーラ・バーチ」の存在感には一目惚れしてしまったし、イーニドとレベッカ、その二人のファッションもすっごく可愛かった。細かい所までホント可愛く出来てるし、シーモアを演じた「スティーヴ・ブシェミ」のへなへなぶりもすっごくはまってた。何が出来るわけでもない、何かを持っているわけでもない、ただ自分の現状にイライラして、周りが全部バカに見えて、世の中にはびこる「ヤな感じ」が許せなくって「ケッ!」とばかりに不満を吐き出し続けてるだけのイーニドの青臭さにも、なんとなく親近感を持てたりもした。それでも私にとって、この映画はやっぱり痛すぎる。誰かを巻き込んでしまう怖さを、そして自分という存在の頼りなさを、この映画は私にまざまざと思い出させるから。セラピーに通い続けるシーモアを思うと、私は今でも言葉を失ってしまう。そんな時、私もヒトリ黙って深夜のバスに乗り込まざるを得ないような気分になってくる。ここにいてはいけないような。いられないような、いる価値がないような。

そして、もし、今シーモアに私の言葉が届けられるのなら、私のした酷いこと全部承知でこう言いたい。届いても届かなくても「それでも、アナタは私のヒーローでした」と。シーモアがもう一度、自分の砦を築き治してくれることだけを祈って。