ビッグ・フィッシュ/ティム・バートン/2003年/アメリカ

人生なんて、まるでお伽話さ!

大好きなティム・バートンの新作「ビッグ・フィッシュ」を、とうとう観てきました!と、勢いづいて語りだしてみたものの、なんと言えばいいのか、微妙な感じでしたよ。好きなシーンはたくさんあったし(一目惚れするシーン、一面の水仙の花、洋服を着たままバスタブに浸かるラブ・シーンなどなど)、キャラクターも良かったし(大男、巨デブ、小人、シャムの双生児、魔女)、可愛かったし(ヘレナ・ボナム=カーターもスティーブ・ブシェミアルバート・フィニーも)、愛に満ちていたし、この映画を取り巻くことどもはとっても好きなんだけど、好きなはずなんだけど…吸引力が足りなかったというのかな?まさにエドワードがサンドラに一目で心を奪われてしまったみたいな、一目惚れが起こらなかった。気持ちが鷲掴みされなかった。と、言うのが正確な所みたい。すごく淡々と観ていたような気がする。お伽話と現実の距離が近過ぎて、お伽話のキラキラ感が少し目減りしたような気もするし。もっとティム・バートンのお伽話ってキレイなはず!そんな事を思いながら。

確かにラストシーンでは、涙が込み上げてきた(終わりよければすべて良し!)し、もっともっとこの世界に留まりたいとも思ったしけれど。それでも、最後は現実もお伽話もごちゃまぜのまんまの方が、良かったのにな。本当の事なんか何にもいらないし、はっきりさせる部分なんか何にもないままで。見える世界なんて、見るもの次第にどうにでもなる。そう、最後まで私たちに信じさせてくれても、良かったのにな。

それでも、この映画を取り巻く記事やことどもを目にする度に、一目で恋に陥れなかった自分が、ちょっとさみしくもなる。いつだって、やっぱり、たくさん感じてたくさん夢中になれた人の方が、断然幸せで、絶対勝ちだよなって、そう思うから。