インソムニア/クリストファー・ノーラン/DVD

とにかく、白夜のまぶしさと罪の意識から、六日間も眠れずに、不眠症になってしまうアル・パチーノの衰弱ぶりから目が離せない。精神が追いつめられていくにつれ、どんどん形相が変わっていく。その変貌ぶりは、少々滑稽なぐらいに、私に映る。眉間に深々と縦じわが刻まれ、目の下には深くえぐるようなVの字の皺が浮かび上がり。声だってどんどんかすれ弱々しくなっていく。幻覚はちらつくし、足元もあやふやだわで、まさによぼよぼ、瀕死の老人といったって差し支えないかも。ストーリー云々よりも、とにかく少しでも早く彼を眠らせてあげたくなった。眠れないで、気持ちがザラザラしていくのを見るのは、私も辛いから。