日々ごはん(1)/高山なおみ

makisuke2004-08-21


今日はダラダラ寝っころがって、高山なおみさんの「日々ごはん(1)」を読み切りました。普段日記なんかは読む時は、休み休み読んでいかないと、飽きてしまったり、鼻について途中で嫌になったりが多いのだけれど、この本は、とっても良くって,電車の中にもベットの中にもトイレの中にもお風呂の中にも持ち込んで、ずうっと掛かりっ切りで読みきってしまいました。

以前読んだこの人の「帰ってから、おなかがすいてもいいようにと思ったのだ。」は、正直あまり好きにはなれなかったのだ。ウエットな感じがして、女っぽい感じが立ちこめていて、息苦しくなってしまったのだ。それが、今回のこの本からは、感じなかった。そもそもテレビなんかで見かけるこの人は、日本(アジア)的な湿度を感じさせる人で、何処か暗い感じがして、しっとりとした色気のある人だなと思っていたのだけれど、この人から生まれる料理は、その見た目のイメージを鮮やかに裏返す感じで、豪快で勢いが良くって、エネルギーの塊みたいに見える(食べた事は残念ながらないのです)。この本からも、私の勝手に持っていたイメージを覆す発見がたくさんあった。そして、それが楽しかった。

とてもシンパーシーを感じたのは、高山さんがとにかくよく眠る人だという所。自分の体内時計で生活しているみたいな人なのだ。疲れたらとにかくよくよく眠ってゴロゴロと本を読んで、エネルギーを補填する感じ。家族で暮らしているけれど、それぞれが自分のペースで暮らしていて、窮屈さが感じられない。それぞれ独立した人間の集合体が家族なんだなって、それが日記を通して伝わってくる。だから、時間にも仕事にも誰にも縛られていなくて、つくづく自由なんだなって感じが伝わってくる。ちょっと羨ましいぐらいに。読んでる私も、なんだか時間の枠が広がったような、人との距離が楽になったような、そんな気分になってくる。そして、よく飲んでよく食べてよく作る人で。だれが作っても何処で出てきても「美味しくできた料理」というものをとっても大事にしている人だ。それでも気取ってなくて、料理研究家の食卓でも、買ってきた焼き魚や揚物やインスタントの食材なんかが、どんどん出てきて。冷蔵庫が空っぽになる事もよくあって。なんでもないごはんが美味しそうで。

そして、仕事に対する考え方が、とってもいい。

「クウクウ」の厨房の仕事って、体中全開で働いているな。声も腹から出すし、誰かの言うことにすぐに反応できるように耳も開いている。…次の作業を考えながら働くから頭も全開だ。使わないのは感情だけ。いやな気分になったりイライラしたりしたら、そこで動きの流れが止まってしまうから、感情だけはニュートラルな状態。いつも安定した柔らかい状態だ。

肉体を使って、自分という厄介なもの(感情)を排除して、マシーンの様に働く快感を知っている人だ。