ゴシカ/マシュー・カソビッツ/DVD

ゴシカ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
思いの外楽しめた。怖がりの私が怖くなく見られた所も、評価したい。いたずらに怖がらせない所が、何だか逆に新鮮でもありました。ホラーと聞いていたけれど、これはホラーではないね。後半(脱走が始まってから)やや展開がもたついて。気が削がれ気味だったのが惜しい所。90分程の映画が、優に2時間はあるように感じてしまったのは残念だったが。前にも言ったけれど、展開なんて読めてしまっても、面白いモノは面白い。もっと畳み掛けるようにラストに向かって欲しかった。

それでも、最初に言ったように、思いの外楽しめたのは、楽しめた。ハル・ベリーの火事場の馬鹿力的芝居には胸がすく思いだった。何かのタガが外れた感じが良く出ていた。ペネロペ・クルスも含め、病んでいる時(設定)の彼女達の顔がとってもキレイだった。ブルー、ブラックが基調の画面の中で、ぎらぎら光る目や。濡れて張り付く髪が、彼女達を引き立ててたように思う。水(雨やシャワーや涙やプール)の使い方も良くって。映像を見ていて飽きなかった。

ただ、本当に恐ろしい物の存在というのが、アメリカ映画だととても分かりやすい形で提示される所が、物足りないというか。行き着く所はおんなじなんだなというか。その辺りが怖くないというか。残念というか。見終わって、気持ちにべったり張り付いて忘れられない恐ろしさがなくって。本物の闇ってものが存在しないように感じてしまった。