傷口にウォッカ/大道珠貴

makisuke2005-02-26

傷口にはウォッカ

女の人って、いつも傷を抱えているようなもんじゃない?ここに。

読了。大道珠貴は、はじめて読んだけれど。うん、この人、悪くない。角田光代絲山秋子らが書く、いわゆる「ダメ女」たちに負けずとも劣らない、むしろ強烈な存在を放っている、大道珠貴のキャラクター。感情がストンと抜け落ちたような、語り口。結構えげつない、笑えないような出来事の連打でも、どこかさばさばと突き抜けた印象を受けてしまう。強烈なパンチというよりも、むしろボディーブロウみたいな。だけど悪くない感覚。ひたひたと溜まっていく感情は、泣いてしまったらさっぱりするだろうけど、泣きたいわけじゃないような、泣く寸前のちょっと上ずったあの気分のような。ちょっと雨が降り出す直前の空みたいな気分になりました。この人(主人公・永遠子)の中にしっかり根づいていて失われない「それでも人と関わっていたい、関わって自分の気持ちをボコボコにされてみたい」ってトコロが沁みてくる。底から這い上がってくるような祈りのような主張のような、そんな作者の気持ちが伝わってきた。