マシニスト/ブラッド・アンダーソン@シネクイント(パルコpart3)

すでに1年間365日眠っていない。

まずは「マシニスト(機械工)」というタイトルがいい。おそらく当たり前に善良で気の小さい機械工男に振りかかった悲劇の話だと、私は思う。1年間眠る事が出来ず、やせ細っていく男を演じたクリスチャン・ベイルの激痩せぶりは、確かに目が釘付けになる。両手をひな鳥のように広げておどける様は、これから始まる奇っ怪な物語を予感させて、ワクワクさせてくれたのだけど。全体的には、やや品良くまとまってしまったのかも。所々印象的なカットがあったし、決して退屈はしなかったのだけど。「謎」という部分では、途中から読めてしまうかもしれない。それでも、その「謎」を上回る、緊迫感と激しさが欲しかったのだと私は思う。そもそも私は「謎解き」という部分には何時でもさほど興味がないので。眠りたくても眠る事が出来ないという、イライラぶり神経衰弱ぶりをもっと覗いてみたかったし。そして不眠症といえば「インソムニア」のアル・パチーノを思い出すのだけれど。アル・パチーノの衰弱ぶりの方がはるかに痛々しく、不思議とイロッポク、母性本能をくすぐってきたのだね。