サラ、いつわりの祈り/アーシア・アルジェント@シネマライズ渋谷

makisuke2005-05-20

 
シネマライズに、アーシア・アルジェントをみにいく。役者としてのアーシアはとにかく最高!不安定でメチャクチャだけど、タフでピュアで力みなぎるサラを全身で表現していたし。サラの愛を求め、自らも女の子のふりをしてサラ自身になろうとしていくかの少年ジェレマイアも、文句なく可愛かった。説明を排した映像を煽るような音のつながりで見せていく感じは、面白いと思ったし、魅惑的な映像も沢山あった。のだけれど、観ている間も観終わっても違和感が残った。監督・脚本としてのアーシアには不満が残った。里親から生みの親である娼婦サラに引き取られるジェレマイア。ドラッグに売春に暴力に不安定な暮らしの中で愛情は捻じ曲がってゆく。折檻の為のベルトを差し出すジェレマイア。女装して男を誘惑するジェレマイア。石炭や壁、汚染された食品の妄想に憑かれて逃げ回る。この痛々しさの連続に取っ掛かりを感じないのだ。ただイタズラに痛いだけ。「常識破りでギザギザしていても、まぎれもなく本物の愛のカタチ」という真実(ダロウはずのモノ)が見えてこなかった。

今までもこれからも、コドモを持ちたいとも持とうとも思ったことがないワタシとしては、誰かにこんな風に影響を与えたり、誰かからこんなにも求められたり求めたりする関係は、まっぴらゴメンだ。恐くてかなわないや。そんなことも考えた。それにしても、近頃のアタシすっきりと面白い映画観てないのな。本来手放し大絶賛型のワタシなんだけれど、辛口批評家みたいになり下がってる。それが不満だし、ちっとも面白くないのだな。