終わらない物語-アビバの場合/トッド・ソロンズ@シネマライズ渋谷

makisuke2005-06-30


午後の仕事がキャンセルになったので、渋谷までトッド・ソロンズの新作「終わらない物語-アビバの場合」をみにいく。「ウェルカム・ドールハウス」「ハピネス」「ストーリーテリング」の監督と言ったら、ピンとくる人もいるかもしれない。従兄妹役のマーク・ウィーナーが、今回もいい感じの存在感を発揮してました。
ウェルカム・ドールハウス [DVD] ハピネス [DVD] ストーリーテリング [DVD]
まずは、面白かったな。すごく。アクが強く、ヒトクセもフタクセもある監督なので、万人受けはしないと思うのだけど、とにかく上映時間中、夢中になって画面に見入っていたワタシがいました。誤解を恐れずにあえて書くのだけれど、この監督の映画は見る楽しみに溢れているのよ。美男美女ばかり出てくるハリウッド映画とは対局にあって、度を超えて太った人間や姿形が醜い人間や奇形児や障害者や何処かがおかしな人間達がたくさん出てくる。その人たちをただ眺めるワタシは、いつの間にか画面から目が離せなくなっているみたい。世界中に溢れる愛を探して旅に出る、主人公「アビバ」を肌の色や姿形や年齢や、性別までも異なる8人の役者が演じているというのも、面白いし。物語も強烈な皮肉に満ちてる。救いがなくもあるのだけれど、どこかお伽話のようなこの世界は、終わることなくぐるぐる回って、そして出口がないままでも良いのじゃなかろうか?とも思えてしまう。不思議なモノで、こうやって病みに病んだアメリカを見せられると、かえって健全で愛と希望に満ちているように感じてしまうのは、ナゼでしょうか?それはワタシにも分からないけれど、とにかく光が当たらない、闇の部分を見ること、考えること、味わうことは、ワタシには快感、ワタシには安らぎにも通じるということです。堪能しました。