GUMMO ガンモ/ハーモニー・コリン

makisuke2002-05-22

ガンモ [DVD]
それは私にも分からない。私が今ナゼ泣いているのか?私が何に震えているのか?
それは私にも分からない。けれど…。

私はこの映画を決して誰にもすすめはしない。この不愉快極まりないフィルムを私が誰にすすめることが出来ようか?誰がコレを喜ぶなどと想像できようか?

殺される猫たち/フリークスたち/キチ○イたち/ジャンキーたち/暴力と汚さと薄気味悪さと嫌悪感。それらが漂うこのフィルムを。唾を吐きかけたくなるこの映画を。いや、それらで埋め尽くされたこのフィルムを。誰が受け入れてくれると言うのだろうか?

だのに漂うこの清潔感は何なのだろう?だのに溢れるこの美しさは何なのだろう?だのに漂うこの懐かしさは何なのだろう?だのに漂うこの切なさは何なのだろう?

この世界はきっとある。いや、私は確かにこの世界を知っている。知って記憶して懐かしんでる。そう確信させるこの裏打ちは何なのだろう?この至極デタラメな壊れてしまった世界が、ナゼこんなにリアルなのだろう?

私にはナニが何だかまったく分からない。分からないということだけが、唯一私の分かることなのだけど。だのにだのにだのにだのに…。私は今、心底震えているのだ。心が感じて動いているのだ。

私は何処から来たのだろう?私は何処へ行くのだろう?その答えはきっとこの中にある。そんな気がした。

私が亡くしたモノとか。私が持ち得なかったモノとか。私がさよならしたモノとかで、フィルムはできている。だからあの雨のシーンが、流れる歌が、私を捉えて放さない。

(あの雨のシーンで流れるあの歌、あれは何処で聴いたのでしたっけ?ご存じの方教えて下さい。あれは私が何処で出会った歌なのですか?)

だから私はあの雨に、何度も何度も打たれ続ける。あの美しい美しい、あの雨に。そして私は、可愛いモノ愛しいモノ大切なモノ。すべて集めては、復讐しているのだろうか?ナゼに?とか誰に?とかではまったくなく。ただ何かを憎んでいるのかもしれないと、そう思った。だから、わたしはこの世界が愛おしい。愛おしくて愛おしくて愛おしくて、私のアタマは狂ってしまいそうなのだよ。