草間彌生:永遠の現在/木村伊兵衛@東京国立近代美術館

makisuke2004-11-12

  


とうとう行ってきました「草間彌生」。まずは楽しかったなー。ボリュームも満点。広々とした空間にほとんどお客さんもいなくって、思う存分堪能してきましたよ(係員の人にお客様近づきすぎですと注意されちゃうぐらいに)。展覧会に出掛けて「楽しかったよお」という気持ちになるのも、なかなかないのでは?と思うのだけれど。とにかくどんどん楽しくなって、はしゃぎたくなって、気持ちが元気になってくるのを止められなかったぐらい。



見る喜びはもちろんなのだけれど、体の内側に伝わってくる刺激で体がぞわぞわしてくる。椅子やテーブルやベットや洋服からニョキニョキと生えている、芋虫のようなペニスのような内蔵の内側のような、そんなオブジェをみていると触れたくて潜りたくて感じたくて取り込みたくて、うずうずしてくる。アタマで感じるよりももっと早く体が反応しているのが良く分かる。なんだかとっても気持ちが良くって、へらへらと笑いたくなってしまう。こう、走るとか笑うとか歌うとか揺するとか、受けた刺激をこの体で表現したくなってくるのだ。



鏡張りの世界の中を覗けば、自分の姿が確かに目に飛び込んでくるのだけれど、なんだか私が私でないような。私が私であろうとなかろうと構わないような、そんな気持ちになってくる。ただ受け止めるのに精一杯。自分がとても小さく小さく感じられるし、それがちっとも嫌じゃない。ただ作品の前に、無防備に無邪気になっていくだけで。クジラの体内に取り込まれてしまったピノッキォのように、ただ草間彌生という人に取り込まれて混ざり合って、このまま溶けてなくなってしまいたくなるような。


同時開設の「木村伊兵衛」も楽しみにしてました。数こそやや物足りないが、モノクロの写真がとても繊細で美しい。子供の顔がとってもいい。街並みが絵になっている。いまの日本ではもう写すことのできない世界なのだなぁ。と、しみじみ見入る。草間彌生のクールダウンにもなりました。