我楽多じまん〜なごみの懐かし雑貨/中野翠

どうも私は中野翠贔屓らしい。結局あれこれと読んでいる。小説に疲れた時なんか、丁度いい箸休めのような感じにもなるし。私の知らない(興味はあっても手を出しづらかった)分野を教えてくれる、教科書のようでもある。現在眠る前には、新作日記「ここに幸あり」をパラパラと読んでいるし、今までの過去日記「ほぼ地獄。ほぼ天国。」「あんまりな」「まんざら」などなども、楽しく読んだ。サンデー毎日の連載をまとめたというこの日記ももう20年近くも続いているとか(継続は力なりだなー)。それ以外でも「ぺこぺこ映画日記」は、辞書の如く手元において活躍してるし「お洋服クロニクル」には、心底わくわくしたし「会いたかった人、曲者天国」は(知らないひとが多かったというのに)楽しめたし勉強になったし「千円贅沢」は、千円で出来る贅沢買い物にワクワクしたし「ふとどき文学館」もずしっと読み応えがあったな。


この本「我楽多じまん」は、中野さんが愛した雑貨と言おうかー骨董というには恐れ多く、ヴィンテージとかアンティークとか呼ぶのにも、格調が高すぎるー言うなればガラクタの数々を集めた本だ。特に本の後半、三百体は集めているというお土産こけしの頁にはかなり見応えあり。正直最初は、ちょっと安っぽいかな古くさいなちゃっちいかなと思っていたのだけど、読み進めていくうちに、それら安っぽくて古くさくてちゃっちいモノの数々の中に、きっちりと中野さんの美意識みたいなものが浮かび上がってきて、なんだかにんまりしてきてしまった。好みという意味では、私のそれとは微妙に異なるけれど、一貫したうるさいまでのこだわりを読んでいると、森茉莉のあの世界に通じるなぁと、そんな事を思ったり。とにかくきちんと好きを持っている人は、いいなぁとそう思わせてくれる本でした。

我楽多じまん―なごみの懐かし雑貨ほぼ地獄。ほぼ天国。あんまりなまんざらぺこぺこ映画日記―1993‐2002ここに幸ありふとどき文学館お洋服クロニクル会いたかった人千円贅沢あやしい本棚会いたかった人、曲者天国 (文春文庫)