カナリア/塩田明彦@新宿武蔵野館

makisuke2005-03-31

 
(感想はラストに言及しています)みてきました。震えましたよ、私の魂が。結局私たちは、言葉を覚えて言い訳を覚えて大人になっていくのかもしれないな。「生きていく」そう言い切った光一のコトバに、私はすべてがさらわれた(救われた)ような、気分だった。大人の理屈に巻き込まれて、押しつぶされそうになろうとも、光一の下す答えには、誰も敵わない。誰も踏み込めない。理屈も常識も理由付けも、すべてがちんけに思えてしまうよ。新しい世界へ彼らは歩き出したんだと、そう思う。理屈でもなく怒りでもなく諦めでもなく、光一のまなざしの強さからは、希望の匂いがする。何にも囚われない、新しい人間へと進化を遂げていって欲しいと、そう思うよ。いたずらにか弱くなく、いたずらに頭でっかちでなく、痛みと悲しみと優しさを、きちんと持った新しい人に。ぶつかり合い、反発しあいながらも、常に寄り添い支え合うあう、光一と由希。愛じゃなくても恋じゃなくても、繋いだその手の力強さに、私は心底嫉妬した。つくづく思った。なんて映画なんだ、なんてなんて映画なんだと!ラストに流れる向井秀徳ZAZEN BOYS)の「自問自答」に、私の脳内も「自問自答」。私にはまだ、あれほどまっすぐな眼差しのひと欠片でもが残っているのだろうかと。