bookbatonが登場したらしい。

makisuke2005-06-21

id:michoさんさんがはじめられた(のでよいのですよね?)bookbatonがid:masamayuさんから回ってきました。

  • 持っている本の冊数

壁一面の本棚+漫画の本棚+料理のレシピと文献本棚+未読タワーに積ん読本。あとは部屋のそこかしこにさりげなく平積み。

  • 今読みかけの本 or 読もうと思っている本

火を喰う者たち 半島を出よ (上) おせん (其之9) (イブニングKC (95))
持ち歩き本「火を喰う者たち/デイビィッド・アーモンド」寝る前本「おせん/きくち正太」家で読む本「半島を出よ/村上龍

  • 最後に買った本(既読、未読問わず)

ポーの話「ポーの話/いしいしんじ」連れが読み終わったら、私の番です。

  • 特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)

この質問は、ある意味拷問ですね。選べないって!(音も映画もそうだけれどさ)でも、苦痛も快感に変えるタイプなんで、頑張ります。とりあえず、物語として面白い人や好きな人(ジョン・アーヴィングスティーブン・キングポール・オースターパトリシア・ハイスミス、内田百ケン、池波正太郎色川武大三島由紀夫舞城王太郎小川洋子村田喜代子武田百合子向田邦子森茉莉幸田文などなど)はこの際おいておいて、漫画は含めずに、絵本も含めずに、ワタシの物語とリンクする本を選んでみました。

魔法のゆび/ロアルト・ダール
魔法のゆび (児童図書館・文学の部屋)はじめて図書館で借りた本。小学校一年生の時、担任の先生が「お教室の後ろにある、学級文庫をぜーんぶ読み終わった人から、図書館というトコロに先生と一緒に行って本を借りてきてもいいですよー」と、言ったものですから、当時小学生だったワタシは、燃えたわけです。もちろん図書館へは一番乗り。はじめての図書館。本の壁がそそり立つようなその場所はひんやりしていて独特の匂いがあって、すぐに大好きな場所になりました。そこで私がはじめて手に取ったのが「魔法のゆび」エキセントリックな女の子が呪文ヒトツで、気に入らない相手をねこや鳥に変えてしまうというシュールな話。子供向けの本のくせに、良きものが登場せず、救いも後味も決して恵まれない所が、さすがはロアルト・ダール。さすがは七歳の私というトコロか。一時期私の中で「魔法のゆびごっこ」が流行ったことは、言うまでもありませんし。あれから彼の本は随分読みました。そして、時を随分経てから、この本は我が家の本棚にやってきました。挿し絵の感じは変わってしまったけれど(昔のモノの方が随分恐かった記憶が…)、今でも変わらず私にとっての大事な本なのであります。

あの頃、野山を駆け回るのが大好きな野生児そのもののワタシだったけれど、おんなじ位、本が大好きでした。宿題も友達との約束も妹との毎晩の喧嘩も家の手伝いも楽しみのテレビも眠らなくてはいけないと決められた時間もあったのに、よくもまあ、あんなに本を読む時間があったものです。偉い人の伝記も、世界各国の名作と言われるものも、鳩椋十もさとうさとるも宮沢賢治シートンもファーブルも怪盗ルパンもお子様向けのシリーズ物もたくさんたくさん読みました。今よりももっと、ただただ自分の楽しみのためだけにページを捲ることに没頭していたように、思います。

海と毒薬/遠藤周作
海と毒薬 (新潮文庫)高校の頃は、遠藤周作有吉佐和子とつかこうへい(時代を感じますね)と松本清張坂口安吾(白痴論!)が大好きでした。友達からすすめられて、コバルト文庫も漫画もいわゆるジュンブンガクも随分読んだけれど、やはり自分が見つけて愛しんだ本には格別な思い入れがあって。その中でも遠藤周作は特別な人でした。軽いエッセイ(当時エッセイの楽しみ方が分かりませんでした)を除いて総て読みました。中でも「海と毒薬」は折りに触れ繰り返し読んだ一冊。戦時下の実話を元にしていて、外国人捕虜を使い人体実験を行って、ひいてはその肉を食べたという物語。私がこの話にとても惹かれたのは、主人公同様この物語の中の「罪」を「悪」と感じなかった所。「人を殺して食べる」というモノの「罪」が身につまされなかった所。むしろ立場さえ違えば、はたまた、その行為になんらかの有用性みたいなモノを見いだされば、むしろ率先して行っていたかもしれないという所。信じる神様も良心も確固たる信念も持ち合わせていない、自分という人間の不確かさを思い知った本。改めて自分が「ウミノモノトモヤマノモノトモシレナイ」と感じて、うすら寒くなった記憶があります。そして、この頃の私は、そのことに何らかの有用性みたいなものさえ感じれば、人だって殺しかねない人間だと気が付いたことで、その思いから長いこと逃げられなくなりました。わけもなく「ワタシはいつか人を殺すかもしれない」という脅えを抱えて生きていたように思います。

コインロッカーベイビーズ/村上龍
コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫) コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)この本を読んだのは、厳密には高校時代だけれど、本当に出会ったのはそれ以降。そして今でも私の素である大事な本。私はずうずうしくも今でも自分には「キク」の血が流れていると、思っていまして。ワタシが誰かを想う。男子女子関係なく、誰かを愛しく大切に想うという基本がこの本があります。私は何時でも幾つになっても「キク」の目線で「ハシ」を求め、「ハシ」を想い求めることで、今のワタシがあるようにおもいます。この本の延長線にあるのが、例えば松本大洋の「鉄コン筋クリート」であり「ピンポン」であり、アゴタ・クリストフの「悪童日記」であり、しりあがり寿の「双子のオヤジ」であり「弥次喜多in deep」であり、いしいしんじの「ぶらんこ乗り」であるわけですね。もちろんどれも大切な本であります。そして信じる神様も良心も確固たる信念も持ち合わせていないスカスカの自分の恐さを、忘れさせてくれた本でもありました。「私は人を殺しかねない人間だ」という呪縛からも解かれたように記憶しています。

蛇足ですけれど、大学に行って芝居というものに出会い、芝居がワタシの宗教となったわけなのですけど、いつの日か「キク」を演じるという野望が、未だあります。無期限休業中の役者人生ですし、女で三十路をはるかに超えたワタシではありますが、ワタシの内には血まみれののっぺらぼうの母親を撃ち殺す「キク」が確実に生息しています。

Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選/レイモンド・カーヴァー
Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)レイモンド・カーヴァーをここに上げるのはいささか気恥ずかしいのだけれど、この本の中の「僕が電話をかけている場所」を読み終えて、ぼろぼろ泣いた記憶があります。あれはたまたま帰省していた実家のベットの上で、眠らずに読み切ったので、辺りはうっすら明るくなっていて、小さな鳥の声やニワトリや隣の牛小屋からの牛の鳴き声なんかが聞こえてきていました。とんでもない時間だったけれど、私はためらわずにある人に電話して、この本がとても良かったという話を唐突に話はじめたのですね。まだ目の覚めきらないその人は、私の剣幕に押されたみたいで少し笑ってから「ちょっと待ってよ」と言って、タバコに火をつけ、ゆっくりと吸い込んで、それを吐きだしてから「おはよう」と言ってくれたのを覚えています。

鈴木いづみコレクション7 いづみの映画私史/鈴木いづみ
鈴木いづみコレクション〈7〉 エッセイ集(3) いづみの映画私史「私は誰の助けも借りずに、私自身の「孤独」を充実させる以外に、手はないのだ。私は犬みたいにがんばらなければならない」

今も昔も、やり過ぎちゃった人が好きですね。過剰な人。絶対値の大きい人。世の中とのギャップの大きい人。何かに真剣になり過ぎて、真面目になり過ぎて、本気になり過ぎて、バランスを崩しちゃって、周りとの接点がなくなっちゃったみたいな人。鈴木いづみもそのヒトリというか筆頭。偏愛しています。あっけらかんと絶望している彼女の文章は、読む度に痺れてきます。

番外編ー料理するワタシ編「料理歳時記/辰巳浜子」
料理歳時記 (中公文庫) 味覚日乗 (ちくま文庫)「洗う、茹でる、切る、絞る、などをたいしたことでないと思うのはたいへんな考え違いです。みずみずしさ、しゃりっとした歯ごたえ、そして香り、これらの特味を失わぬために、間髪入れぬ鍋手前に寸分の油断があってもなりません」

料理研究家辰巳芳子先生のお母様、何事も本質の人(芳子さん談)。この本はそんな浜子さんが、あくまでも家庭の主婦という立ち位置から書かれた本であります。歳時記という名が付いているとおり、春夏秋冬、季節季節の食材とその扱い方あしらい方が、実に丁寧に書かれていて。季節が変わる度に読み返したい一冊。毎日家計をやりくりし、買い物をし(時には畑や庭先から取ってきて)、台所に立ち、当たり前に家族を養ってきた人の言葉なのですね。四季の移ろいを八百屋や魚屋や庭の畑から教えてもらおう。そしてそれを食卓に、食卓に集まる家族に届けよう。そんな謙虚で真摯な気持ちが生み出した本。料理の世界で師匠と(勝手にですよ)慕っている人は数知れません(辰巳芳子さん、沢村貞子さん、向田邦子さん、檀一雄さん、平松洋子さん、金井美恵子さん、高山なおみさん、小山裕久さん、などなど)が、その中でも、この人は別格。とてもやさしくやんわりと、私たちを叱り導いてくれるのですけど、そのコトバの前に時々ひれ伏したくなったりします。「教わりたい、知りたい、しかも手早く知りたい。一度や二度の失敗にこりずに、得心のゆくまで繰り返し、年月をかけて自分のものにする辛抱がない結果の表れ」

番外編ー働くワタシ編「体の贈り物/レベッカ・ブラウン
体の贈り物レベッカ・ブラウンこの本は、ヘルパーとして働く私のバイブルです。

  • 次にまわす人5人まで(5人でなくてもいいらしい)

個人的に読書歴がかなり気になるid:koume0805さん、誕生日のプレゼント代わりにid:maico20さん(オメデトウ、もう十二分にシアワセでしょうが、シアワセな一年を!)、やはり本棚をのぞいてみたいid:gennoさん、遅めの春眠から目覚められたばかりのid:HelloTaroさん、そしてそして、本と音楽とごはんのid:chibamaさん。よろしかったら、よろしくです。お知り合いが被らないよう(回す相手を見つけやすいよう)、散らばして回してみました。という(独りよがり)気づかい付きです。