風味絶佳/山田詠美

makisuke2005-08-10

ポーの話
久しく「読了」というコトバを発していないように思いますが、暑さで読書量確実に落ちています。仕事の移動時間の読書がままなりませんて、これでは。ただただ電車の冷房に吹かれて涼むのに精一杯ですって、これでは。なんとかじりじりと読み進めているのが、この本。「ポーの話」。随分時間を掛けているけれど、ずっと楽しんで読み続けています。あとほんの50ページほど。いしいしんじの書くつぐないと冒険の物語。ポーと供に長い旅に出ているような気分。清濁合わせ飲む、この物語の温かい感じとひやりとする感じがたまらない。なんとも早く読み終わり「読了」というコトバを吐き出したいモノです。
風味絶佳
そして今日買ってきたのが、この本。山田詠美の「風味絶佳」。少しだけねと思って読み始めたのだけれど、面白くってやめられない。噂には聞いていたけれど、確かにスバラシイ。実にじつーに官能的でまさに風味絶佳。そもそも大人っぽい本や映画がなかなか苦手で、山田詠美も実は結構苦手だったりする私。いかにもな文章にのれなかったこともしばしばで、そんな彼女の本の中でいちばん好きなのが「姫君」
姫君
少し少女漫画を思わせる物語がずんと私の中に入ってきたみたいだったっけ。そして「風味絶佳」だけれど、特に二編目の「夕餉」の料理を作るシーンには、軽い嫉妬を覚えるほどだった。柚子胡椒やゲランドの塩にミニエラ・フィノ。リー・アンド・ペリンにカルピスバター、手作りのパン粉にとどんどん嬉しくなってくる私。ミネストローネに牛スジ入りおでんにミラノ風カツレツにクロスティーニではどんどん興奮してくる私。無性にごはんを作ることが恋しくなってくる。もっともっともっともっとと美味しいものを作りたくなってしまう。今までの私の料理が恥ずかしくなってしまうくらい。美味しいモノに、美味しくすることに、一緒に食らうということに、もっともっと貪欲であらねばなと、思いながら今夜の夕ごはんの仕度に臨んだ私であります。まだまだ私には足りないものがたくさんあるのね。