近頃の読了本（1）

先日も少し触れたのですけど、まずは面白かった。久し振りに山田詠美堪能しました。「職人の域に踏み込もうとする人々から滲む風味」を、彼女なりのコトバで小説に埋め込んだというこの本。本当に彼女しか書けない切り口だよなぁと、しみじみ納得。「好き好き好き、と登場人物に言い続けた」という感じ、よくよく出ているのじゃないかと思います。彼女が言う「肉体の技術をなりわいとする人々」とは、恥ずかしながら私の仕事（介護）でもあり。彼女が敬意を払い続けたように、私もこの仕事の持つ「肉体の技術」の部分に強く惹かれて、ミイラ取りがミイラになっているようなモノなのですね。実際。そして、この短編達は、すごくいやらしいけど可愛らしい話ばかりで、アタマの中にコマ割りが浮かんでくるみたいで。漫画を読むように、文字を追っていたかもしれません。曽根さんから、山田詠美は明治大学漫研出身という話を教えていただいたので、この物語を漫画化するなら？などと考えてみました。それぞれの短編をそれぞれの漫画家に私が勝手に割り振ってみました。

• 間食→このいやらしさと死の匂いは、やはり「岡崎京子」に描いて欲しいな。
• 夕餉→食事シーンと性交シーンを地続きで描いてくれるのは、やはり「やまだないと」でしょ。
• 風味絶佳→あくまでもカッコイイ（おばあさんなんだけどね）フジコさんを描くなら「さそうあきら」なんか如何でしょ？
• 海の庭→海の風が吹いてきそうなこの話は「よしもとよしとも」に描いて欲しいな。
• アトリエ→このうっすらと恐い感じは「近藤ようこ」のイメージ。
• 春眠→「山下和美」にステキな梅太郎を描いて欲しくて。

まだまだ続くよ…