最近の読了本 ねこ二冊(3)

とらちゃん的日常 (文春文庫)
らもさんの愛猫、とらちゃんに捧げるエッセー。らもさんを偲んで実家に帰る往復の高速バスの中で読みました。らもさんの語り口は楽しいし、とらちゃんの可愛らしい写真満載でついつい目尻が下がってしまう一冊。この本によると、らもさん、あらゆる動物という動物を飼っているのだという(実際はなかなか夫が帰宅しないことを淋しがった奥様が飼っていたようですが)。犬に猫にウサギに始まり、シマリス、ハムスターにヒョーモントカゲモドキ(ヤモリの一種)。カエル、サソリ、スッポンに肺魚からテトラまで200を下らない魚たち。というのだから、ちよっとした動物園ぐらい開けそうな感じ。そう書くといかにも動物好きのらもさんを想像してしまう人もいるかもしれないけれど、そんなことはない。むしろ読んでいて伝わってくるのは「この人あんまり動物とか好きじゃないんだろうな」「感心ないんだろうな」という感じ。あんなに可愛い可愛いと手放しで書いてたとらちゃんに対してだって、その感じが伝わってくるから、面白い。この本の中で、らもさんはお隣さんや大家さんに少しずつ動物をとられてしまう(徐々に飼い主が代わってしまう)という笑わせられるエピソードがあるのだけれど、それも案外さばさばとしていて、らもさんにとっても悪くなかったりするのかもしれないような。とにかく早くしてこの世を去ってしまったらもさんの、享楽的で飽きっぽくてわがままで子供みたいで執着のない人柄が、よくよく出ているエッセー。自分の人生に対しても、そうだったのかもしれないな。なんて思ったりしながら。

きょうの猫村さん 1
もう一冊はgennoさん(http://d.hatena.ne.jp/genno/20050727#p1)のトコで話題沸騰していた「きょうの猫村さん」。いよいよ購入しまして、読み切りました。行きつけの本屋で予約していたのですが、店員さんに、売り切れですけど、重版かかってますし、相当面白いらしいですよ、帯なんか辛酸なめ子さん書いていますよ、でも売り切れですから待ってもらわないと、さんざん煽られてのおあずけ状態だったのですが、やっとやっと手に入れました。猫村さん、もうたまりませんて。最初は、何でもネットでちょっと評判呼んだら即出版かよ、お前もネットに踊らされているヒトリだな!と、冷ややかに見ていたAさんですが、ページを捲ったとたん猫村さんに見事に陥落。夫婦そろって、くつくつ笑いながら読んでますよ。家政婦の猫村さんのたまらないトコロを上げたらキリがないですけど。少し下世話なトコロとか、変に義理人情に熱いトコロとか、すぐにホロリとするトコロとか、人に取り入るの上手いトコロとか、人の気持ちがよく分かるトコロとか、エプロン縦結びのトコロとか、仕事の合間に歌う歌とか、仕事がやけに手際が良いトコロとか、爪出してむぎゅむぎゅやっちゃうトコロとか、料理上手なトコロとか、仕事の合間にごろんごろんとしちゃうトコロとか、目の下にクマ作っちゃう(ねこなのにね)トコロとか、肉球とか、ビビるとただのねこになっちゃうトコロとか、掃除機に威嚇しちゃったりするトコロとか、ネコムライスにエッグのせ(http://d.hatena.ne.jp/genno/20050728#p1)とか、とにかくいっぱいいっぱいということです。