愛についてのキンゼイ・レポート/ビル・コンドン@シネスイッチ銀座

makisuke2005-09-28


先週の木曜日の話なのですが、愛についてのキンゼイ・レポートみて参りました。実に映画らしいよい映画をみたなぁという感じ。面白かったですよ、ええ、とてもとても。

無類の昆虫好きでタマバチの研究に没頭していたキンゼイ博士が、人間の「性(まあ、要するにセックスですな)」に感心を持ち、その実態のリサーチに生涯をかけたというお話で。3年間全国を旅して採集したタマバチの中に、ヒトツとして同じものが存在しないということに深く感じ入った彼の視点で、セックスというもの、人間のそれぞれの性の実態というものを調べていく所が、なんともよかった。科学者としての視点で、一万八千人もの人々に対してコツコツと面談を行っていった彼のスタンスは、昆虫集めが大好きな子供そのままのようでもあり。エゴもワガママも身勝手もあるのに、とてもチャーミングな人物だったし、それを見守る妻の存在も実によかった(これはただの夫婦の物語としても十二分に楽しめるはず)。

リサーチはあくまでも感情を排し淡々と質問を重ねていくのに、そこから浮き上がってくるものが実に実に感情豊かなことにも驚いた。ヒトリヒトリをつぶさにただ見ていくということは、それだけでとても面白く、意味がり、救われることではないかと、そんなことも考えた。

見終わって、対社会ということになると、持ち上げられたり貶められたり思うように行かないことも数々あるのだけれど、科学者としての、もしくはもっと原始的な何かをじっくり見コツコツと集めつづける人という部分での彼は、何も損なわれていないことに嬉しくなった。彼は、彼ら夫婦は大丈夫なのだなと確信し、満ち足りた気分の中、夜の銀座を歩き始めたのでありました。