ヒトリごはん

makisuke2005-11-10

仕事柄、外で2軒も3軒も掃除をしたり、ごはん作ったりの毎日。「家に帰ってまでやるの嫌でしょ?」とよく聞かれるけれど。正直ちっとも嫌でなかったり。そんな質問に出会うと思い出すのが、この間読んだ絲山秋子の短編の最後の物語(愛なんかいらねー)。ハードなスカトロ話なんだけどね。主人公は同居人に強要されて、快感と屈辱の入交じった強烈なスカトロプレイを体験してしまう。その後に「自分を取り戻すためのオナニー」をする。私が外で家事全般の仕事をしてなお、家に帰って自分が望むよう家事全般を行いなおすのは、どこかその部分と似ているかもしれないな。誰かを満足させるために行った家事の後に、今度は自分を満足させるための家事。もしくは、誰かに乱されたペースや己を取り戻すための家事。ヒトリでココロユクマデ行う家事全般は、そんな時間、そんな感覚なのかもね。なんて。

そして、連れ合いという他人にごはんを作り続けて、12年の私なんだけれど、今でも料理をテーブルに並べる瞬間は、少なからず緊張したりしてしまう。なかなかこの瞬間に慣れることがない。大げさな言い方をするのならば、毎日毎晩「ごはん」という作品を披露しているようなモノだと思う。「美味い」「美味くない」というシンプルな評価を伴う作品を。彼は、食に対してうるさい方ではないし、食事のことで文句を言ったはしないのだけど。彼の食べ方を見ていると、答えは自ずと聞こえてきたりする。食べるスピードや箸の行く回数なんかでも分かるし、本当に美味しいなーと思っている時、彼のアタマは右に左に微妙に揺れるの(ココだけの話)。そのことを一緒にご飯を食べて3ヶ月目に発見したので。私は彼のアタマを揺するために、毎日毎晩ごはんを作っているよーなものなのですよ。ソレが見たくってね。

そしてAさん飲み会のため、残り物総ざらい(蒸し豆腐/白菜の重ね蒸し/インゲンのくたくた煮/小松菜と豚バラのあんかけ煮/)&茶粥でヒトリごはん。ヒトリのごはんは、気楽&行儀が悪い&下世話な楽しみを満足させる貴重な時間だったりする。茶粥は奈良出身のおばあさんに作り方を仕込まれたので、大分上手になったかな。火加減は強めで大きな泡がたくさん出るように炊くといいみたい。ごはんが胴割れしないように注意すること。