ハックル/パールフィ・ジョルジ@イメージフォーラム

映画の結末と展開に触れておりますので。そのつもりでお願いします。

イメージフォーラムにて 「ハックル」をみる。チラシが可愛くて気になっていて。そんな時、妹(三女・ひと)から「おもしかったなぁ。人に教えたくない感じ。こっそり楽しみたい感じ。特別に(教えてあげるね)!」ってメールが届いて、あああっこれは絶対行っておかなきゃ。と。上映期間も終了間近のイメージフォーラムに駆けつけました。


映画は、ほんとーによかったです。誰かに教えるのがもったいない。って、うん、よくわかる。まずはしゃっくりを続けるおじいさんが愛らしい。それにほっこりしていると、どんどんと五感にダイレクトにいろいろが押し寄せてくるような映画だった。台詞なんてほとんどなくって、いつの間にか自分が目と耳と肌と鼻だけで、この映画に向きあっていることに気が付いた。脳味噌なんていらないぐらいの気持ち良さ。モノや動物や人がアップになってじっとその様を追うというだけで、こんなにも親密な感じが画面から伝わってくるのかと、ただ見とれ。写されているモノの手触りや温度や匂いが、どんどん私に入ってくるのも心地よかった。それだけでもとても満足だったんだけど、この映画は、それがそれだけに終わらなかったのだなー。

ミクロコスモス [DVD] ツイン・ピークス ファーストシーズン [DVD] 

「ミクロコスモス」を思わせる生きとし生けるものの神秘や一見長閑な村の水面下や地面の下で起こっている静かな生と死のドラマに感じ入っていると、だんだん物語がただならぬ方向に流れ出しているのに気が付くのだ。まさに、あれれ?って感じ。断然色合いが変わって見えてくる。どこかで「ツイン・ピークス」を思い出したり。自然や動物や人間ーすべてのものに当然ある裏と表を考えずにはいられない。後から後から、いろんな複線が溶けてくるようで、私はただただ感心してしまうし、うーんと唸るしかなかったのだな。見ている間も、見終わってからも、じわじわじわじわとわたしとの親密度は上がっていくような映画でありました。そして、映画の中の食卓が気になって仕方がない私としては、この映画の食べ物の写し方が実に効果的でありました。食べ物の禍々しさがよく出てました。従順な顔をして女はいつも底に何かを隠し持っているのだな。隠し持てない男というのは横暴に振る舞わざるを得ない生き物なのかも。一見の長閑さや可愛らしさの裏側には、人間のごりごりした欲望みたいなものがひしめき合っていて、毒にもならないような物事の裏側にはひっそりと「×」の印がついているかもしれない。世の中はそんな表と裏の切り離せない世界なのかもしれないね。