2007年にココロに残った映画たち(邦画編)

夕の梅

気球クラブ、その後 [DVD]
あったものがもうないということは、切ないことだなあ
人を好きになるのは、切ないことだなあ
人を好きなままでいられなくなるのは、切ないことだなあ
人を好きですと言えなくなってしまうのは
本当に本当に切ないことなんだなあ

松ヶ根乱射事件 [DVD]
人間というのは、みっともないし、いい加減だし、情けないし、臆病だし、いやらしいし。ちまちまとした世界で実にちまちまと生きている。嫌になるほど代わり映えのしない生き物かもしれないけれど。映画という手段を使って、そこに蠢く人たちを眺めていると、神聖な気持ちになってくる。馬鹿馬鹿しくて可笑しくて情けない人たちがもがく様が、実にありがたく見えてきてしまったりするから、始末に悪い。こんないい加減ではっきりしない世界だからこそ、私たちはどうにかこうにか生きていけるのかもしれないねえ。なんて。 馬鹿馬鹿しくて可笑しくて情けない世界って、ただひたすらにあたたかいんだよなあ。わたしには。なんて。

赤い文化住宅の初子 [DVD]

約束だけは絶対消えない。消えようがないってことが、よくよく分かった。叶うとか叶わないとか。そんな次元の問題じゃないの。二人があの時約束したってこと。約束に希望が見えたってこと。すごく素直に約束を信じられたってこと。それが、最高にスバラシイしすべてだってこと。 不安や悲しみや孤独が、約束や約束の先にある希望に負けていないことが嬉しかった。不安や悲しみや孤独に負けそうになっても、繋がることを素直に求める人たちに嬉しくなった。

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]
やっていないことをやっていないという。やってないからやってないという。罪がないから無罪。そんな単純なはずのことどもが、こんなにもこんなにも屈辱的で大変だなんて。と。自分でもびっくりするぐらい金子徹平というこの男に感情移入してしまっていた。すべてが終わってもー無罪有罪に関わらずー彼が損なってしまったものや知りたくなかったものも多いと思う。やり場の無さや憤りも多いと思う。それでも最後の彼の独白を聴いていて、彼の中に芽生えたものを確かに感じた。それはきっと新しい彼を作っていく新しいものだと思う。彼の新しさにー彼のこれからがヨキモノでありますように。と。

天然コケッコー [DVD]
映画がしっかり呼吸してた。
耳を澄ますせたら、映画そのものから生まれる音が
私に届くような気がしたー。
だから
ひとつも聞き漏らさないように
私も大きな耳になって
私はこの映画に包まれていたー。



「好きだけで繋がってる関係って大変なんだよ。好きって気持ちはすり減るからさ(ほぼ、だいたいこんな台詞)」そう、さらりと友和が言った時、あああそうだねえと頷いて、そのまま泣きたくなった。カレーを食べながら泣きじゃくるオダギリジョーにつられて泣き出しそうになった。ジェットコースターから手を振る二人を見てたら、やっぱり泣きたくなった。泣きそうになってばかりだったけど、それをその度にグッとこらえたら、なんだか自分が頑張って生きてるみたいな気持ちになった。んで、嬉しくなった。何かが起こりそうで起きなさそうで起きそうな匙加減も気に入ったけど。何かが少しだけ始まりそうな予感の時って、人生においてすごくしあわせな時間だよなーなんて、思ったりした。

  • 「僕たちは世界を変えることができない」

僕たちは世界を変えることができない [DVD]

GOING STEADYの解散から銀杏BOYSの結成、レコーディングまでのドキュメント。


目を剥き吠え届けることに全身を捧げる。もしくは吐き出す機械のようになったこの男に、わたしは心底惚れてしまったみたいだ。自分の中に納め切れない納まり切れない熱い塊を、彼は吐き出すことで生きているんだなあ。歌うことをやめたら壊れちゃいそうだ。ひどく不格好でも泥臭くても暑苦しくても、吐き出せるものがある人間は、間違いなく選ばれた人間だ。もちろん、あなたは天使なんかじゃなくって。わたしだってもちろん、神様じゃなく。あの人だって仏様じゃなく。飯食ってセックスするだけの人間様だけれどね。もがき苦しんでるだけの人間様だけどね。