愛おしき隣人/ロイ・アンダーソン@恵比寿ガーデンシネマ

足下の黄色い花


その昔「散歩する惑星asin:B0000DJWED」という不思議な後味の残る映画をみた。「おそらくは、ダメそうな人たちが目白押しで、どん詰まりの行き詰まり感がべたっーと貼り付いてしまったような映画でもあるけれど。そこはかとなくユーモラスな感じが漂っていて、ついついクスリとしてしまう」ような映画だった。そして、そんな世界がどこかにあるかも?んんん、きっとあるはず。あってくれたら、案外いいいかもっ。て思わせてくれ映画だったっけーそのロイ・アンダーソン監督の新作 「愛すべき隣人」をみに。恵比寿まで。「散歩する惑星」同様、今回もカメラはやはり動かなかった(のに、動くはずのないモノが動いちゃったりして楽しかったけれど)。その動かない様に、なんだかどんどん心地よくなってきた。動かないカメラ、好きだなあわたし。

今日もついてないことばかり
でも明日はきっとしあわせ

ロックスターとの結婚を夢想する女の子とか、世界で一番ツイていないと嘆き悲しむ夫婦とか、誰からも愛された事のない男とか、「誰も私を理解してくれない」と泣き叫び(何故か)歌いだしてしまう女とか、困窮した家計を静かに嘆き患者の悪口をまたまた静かに嘆く精神科医とかー今回もやっぱりダメそうなしみったれとも言うべき人たちが目白押しなんだけど「散歩する惑星」よりも、随分明るい印象をうける。カウリスマキのあの世界を思いだして、さらにわたしの居心地度がアップしたというような。とにかく、わたしが大人になったからなのかな?音楽の力なのかな?人々の嘆く樣までも、なんだか微笑ましくって、可愛らしくみえてくる。人々が嘆きながらも「きっとある」と信じてるしあわせな明日が、映画越しにわたしにはしっかり見えた気がした。だから、すごくいい気分で空が高い感じのする街、恵比寿を後にしたのだった。

ということで、「愛すべき隣人」が晴れてわたしの選ぶ 「映画の中の(愛すべき)ダメな人」に仲間入りしましたのでご報告まで。