書物の中の気になる食卓

文人悪食 (新潮文庫) 文人暴食
先日記憶を頼りに映画の中の気になる食卓ばかり集めて、悦に入ってみたのだけれど、おんなじ事をしている人がいたのですよ、実は。74人の文士たちの一筋縄ではいかない食卓ばかりを集めた本。ありましたありました。嵐山光三郎さんの「文人悪食」と「文人暴食」。文士たちそれぞれの書物を読みあさって、その中から浮かび上がってくる食卓を分析、推測、披露してくれたスバラシイ本。

嵐山さんはこの仕事に、十年という歳月をかけたという。まずはその歳月になんとも言えない感慨を覚えてしまう。そして、書き手としての嵐山光三郎という人の力にも参ってしまうし、登場してくる文士達の、その食卓自体にも(ナゼだか)深々と頭を下げてしまいたくなったりする。とにかく力の入った、ただただ感服するばかりの本であります。