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世にも美しい数学入門/藤原正彦/小川洋子

いやー、久し振りに痺れました。面白かったですよ、この本。数学を「美しいか」「美しくないか」だけで語り切る数学者の藤原先生は実にチャーミングで、本を捲り始めてすぐに数学というモノに対する見方が全く変わってしまいました。数学に魅入られ、数学に…

グランド・フィナーレ/阿部和重

今やすっかり神町(ジンマチ)作家、阿部和重は新刊がでたらば「買います!ワタクシ」なヒト。遅ればせながらの芥川賞を受賞したという、この本。私も遅くなりましたけど、読了しました。ロリコン男が出てくると聞いていたので「シンセミア」みたいな鬼畜系…

沖縄のうまいもの。

本棚から「沖縄のうまいもの。」を取り出して、眺めなおす日。原色が溢れかえる市場の写真は、見ているだけで気持ちが沸き立ってくる。花も緑も豚もおばあも海も空も、みんな元気でつやつやしてる。眺めているだけでは飽き足らず、あれこれと料理がしたくな…

古道具 中野商店/川上弘美

帯の所には「なつかしさと幸福感にみちた最新長編」とあるのだけれど、読み終わってつくづく「これって、ウソだよなぁ。違うよなぁ。」と思いました。読んでいる最中の私は「幸福感」とは一番遠い所にあって、ひたひたひたと静かに確実に物悲しかったのであ…

介護という仕事をする上で参考になった本

コンセント/田口ランディ…私を形作るモノ モザイク/田口ランディ…今日が始まる。 体の贈り/レベッカ・ブラウン…-物語を捨てる時。 家庭の医学/レベッカ・ブラウン…あなたのその目が見ていたこと。 博士の愛した数式/小川洋子…君が料理を作っている姿が好きな…

泳ぐのに、安全でも適切でもありません/江國香織

ヒンシュクをあえて承知で書くのですけれど、江國さんの小説は一言で言ってしまうと、私には「イケスカナイ」のですね。この間読んだ「間宮兄弟」が思いの他よくって、思い切って読んでみたのだけれど、以前抱いたとおんなじ「イケスカナサ」に包まれてしま…

料理ゴコロを刺激する本たち

レシピ本というよりも、私の料理ゴコロをくすぐるのは、小説の中の食卓の風景だったり、映画の中の料理を作るシーンだったりします。私が日々教科書にしている料理本はたとえぱこんな本だったりします。具体的な数字で調味量の分量や材料なにかが書いてある…

日々ごはん3/高山なおみ

3冊目の「日々ごはん」読了しました。今回は丁度おんなじ頃の季節のスタートだったので、一気読みなどせずに、少しずつ季節の移り変わりを味わいながら楽しもうと思っていたのだけれど、気が付いたら読み切ってしまっていました。相変わらず、良かったですよ…

タンノイのエジンバラ/長嶋有

読了しました。この本はgitzoさんに薦められて手にした一冊。長嶋有という人は「猛スピードで母は」以来2冊目になる。その「猛スピードで母は」にはあまりピンと来ず(一緒に入っていた「サイドカーに犬」はなかなか面白かったのだけど)、それっきりになっ…

死者との誓い/ローレンス・ブロック

読了しました。ヨカッタです。とてもとても。深くて力強くて優しい本です。世の中の底のほうからこの世を見上げる優しい目線を感じました。嬉しい本でした。この一冊は、マッド・スカダーシリーズの中では、やや異色なのではないかと思うのだけど、とてもと…

この所の読書

次は何を読もうかなと、迷う時間も楽しい。Amazonさんから「タンノイのエジンバラ」も届いているし「日々ごはん3」は、西荻の親愛書店で購入してきたばかりだし。いやしかし、しばらく外国人読んでないなぁ(すごい分け方だ)と、マッド・スカダー・シリー…

池袋ウエストゲートパーク5反自殺クラブ/石田衣良

ウエストゲートパーク、読了。この所の石田衣良には、ちょっとガッカリさせられる事が多かったので、不安だったのだけど。5冊目のこのシリーズ、相変わらず面白かったですよ。四つの短編からなるこの一冊、今回は粒ぞろいでどのストーリーも面白かった。た…

白蛇教異端審問/桐野夏生

桐野夏生のコラムとエッセーとショートストーリーと書評とタイトルにもなっている「白蛇教異端審問」が詰まった一冊、読了しました。書評は面白く、一気に読んだ。感情でブレないクールな書きぶりは読んでいてすーっとしてくる。ローレンス・ブロックの何冊…

本棚

本棚を作ってみました。まだ、ほんの一角。

赤い竪琴/津原泰水

読了。小川洋子の帯びに惹かれてAさんが購入してきた一冊。*1語り口というか、文章はとても丁寧で熟練といった印象。世界もしっかりとウツクシク出来ていて、悪くはないのだけれど、難病の恋愛モノというトコロに少しばかり引っ掛かる。(以下、結末に触れ…

ワンダラン!素樹文生

読了。途中に小説に浮気を繰り返しながら、昨日読み切りました。なかなか面白かったですよ、この人。実にチャーミングで!高校時代(高校時代限定です!)のクラスメートの男の子の話を聞いているみたいな、そんな感覚。幾つになっても「男の子」と、呼んで…

傷口にウォッカ/大道珠貴

女の人って、いつも傷を抱えているようなもんじゃない?ここに。 読了。大道珠貴は、はじめて読んだけれど。うん、この人、悪くない。角田光代や絲山秋子らが書く、いわゆる「ダメ女」たちに負けずとも劣らない、むしろ強烈な存在を放っている、大道珠貴のキ…

ワンダラン!/素樹文生

このところ小説モードでないらしく、どうも物語に入り込めない。読みかけてはほったらかし、読みかけてはほったらかしの本がたまってる。集中力が欠けたまま読み進めても、感想が「ふ〜ん」とか「はあ、そうですか」になってしまうので、もうしばらくは小説…

本棚整理中

とにかくざざっと詰め込んでみました。つ、疲れました。しかしなかなかの力作ですなあ。壮観ですよ、もう。とりあえずは満足なんですけど、しかしホントにただただ段ボールから出して突っ込んだだけなんで、私が満足するわけもなく。これから人別、ジャンル…

好き好き大好き超愛してる。/舞城王太郎

機も熟してきたというわけで(?)、昨日から舞城王太郎の「好き好き大好き超愛してる。」に取りかかっている。舞城の本を読んでいるというだけで嬉しくてたまらない状態であるワタクシ。朝から中央線の電車の中で「やっぱり好き好き、舞城王太郎、このジャ…

我楽多じまん〜なごみの懐かし雑貨/中野翠

どうも私は中野翠贔屓らしい。結局あれこれと読んでいる。小説に疲れた時なんか、丁度いい箸休めのような感じにもなるし。私の知らない(興味はあっても手を出しづらかった)分野を教えてくれる、教科書のようでもある。現在眠る前には、新作日記「ここに幸…

オーデュボンの祈り/伊坂幸太郎

読了しました。初の伊坂幸太郎。伊坂は前々から読みたいなとは思っていはいて、Aに「伊坂読むならどれから?」と尋ねたところ「やっぱりオーデュボンからじゃないのー、期待するほどは面白くないけどね、伊坂」というありがたいアドバイスを受けて、読みま…

対岸の彼女/角田光代

昨日ベットの中で半分、今日仕事の合間に半分といった分配で、角田光代の新作「対岸の彼女」を読み切った。良かったです。とてもとてもとても。恥ずかしい話だけれど、私は泣いてしまいましたよ。終わり間際の何ページかは、ホント堪え切れない感じで。女子…

ぶらんこ乗り/いしいしんじ

クリスマスに送った「ぶらんこ乗り」の感想がひとさん(妹・三女)から届きました(これからも、私の元にメールで届いた感想は本人の了解を取って「あの子の感想」シリーズでアップしていきたいと考えております)。私は弟君をひとさんに、お姉ちゃんを自分…

人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ

(もしかしてネタバレかもしれません、その手の話じゃないけど、そういうのが嫌な人は読まないで下さい)お風呂に持ち込んで、半分だけお風呂に浸かってた一時間余りで読み切ってしまったこの本だけど、好きだわ。かなり。気に入ったわ。この人。読んでいる…

間宮兄弟/江國香織

だって間宮兄弟を見てごらんよ。 いまだに一緒に遊んでるじゃん。 江國さんの小説は、苦手なので読まない(エッセーは好きだけれど彼女の恋愛の話がどうしても苦手で)。という頑ななスタンスを取ってきた私だけれど、この本「間宮兄弟」は、気になっていた…

真夜中の五分前/本多孝好

私の良くない傾向として、まずはこの手の本は、端ッから読まない、選ばない、つまらないんだろうなと高を括ってしまう。という傾向があるのだけれど(だって、元恋人が使っていた五分ズレた時計とか、死んでしまった恋人とか、双子の片割れとか、いかにも設…

今年記憶に残った本

犬が星見た(武田百合子)/貧乏サブァラン(森茉莉)/博士の愛した数式・ブラフマンの埋葬・小指の思い出(小川洋子)/海の仙人・袋小路の男(絲山秋子)/熊の場所・山ん中の獅見朋成雄(舞城王太郎)/日々ごはん・日々ごはん(2)・高山なおみの料理(高山…

若かった日々/レベッカ・ブラウン

今年最後の本は、レベッカ・ブラウンのこの本になりそうだ。仕事の移動時間に少しずつ読んでいるので、遅々としか進まないけれど。フルサトへ帰るバスの中でも読むことになりそうだけど。それでもこの本がスバラシイ本だってコト、彼女の物語がまるで私の物…

アイムソーリー、ママ/桐野夏生

読了しました。読み始めてすぐ、児童福祉施設のやさしい先生、美佐枝(めーめー)先生の焼き肉屋の場面にはワクワクした。 美佐枝は焦げて冷たくなったミノを最後にひとつだけ食べた。だが、堅くて噛み切れないので、口から出して床に捨てた。汚い店だから構…